製品設計や建築、インテリア、機械分野など、ものづくりの現場で欠かせないのが「3DCAD」。
近年では、学生のうちから3D設計スキルを身につけることが求められる場面も増えています。
しかし、いざ学ぼうと思っても「どのソフトを使えばいいの?」「何から始めればいいの?」と迷ってしまう人も多いはず。
そこで今回は、実務でもしっかり使える3DCADスキルが学べるおすすめの参考書・テキストを6冊厳選しました。
これから3DCADを学ぶ方や、就職・実務に備えたい学生・社会人の方は、ぜひ参考にしてみてください!
今回紹介するテキスト
書籍タイトル | 対応ソフト | 特徴・ポイント | 初心者向け度 |
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Fusion 360 マスターズガイド ベーシック編 | Fusion 360 | 基本機能を丁寧に解説。図が多く、初心者でもわかりやすい | ★★★★★ |
よくわかる 3次元CAD SolidWorks 入門 | SolidWorks | 実践的な作例で製造・設計に強い。授業や独学にも◎ | ★★★★☆ |
Vectorworks パーフェクトバイブル | Vectorworks | 建築・空間デザイン向け。2D〜3Dまで網羅的に解説 | ★★★☆☆ |
初歩から学ぶ 3次元CAD活用設計再入門 | 汎用(ソフト非特定) | ソフトに依存せず“設計思考”から学べる入門書 | ★★★★☆ |
はじめての Autodesk Revit & Revit LT | Revit(BIM) | 建築設計・BIM向け。図解豊富で建築学生に人気 | ★★★★☆ |
各参考書・テキストの紹介文
Fusion 360 マスターズガイド ベーシック編 改訂第2版

📚 対応ソフト | Fusion 360(Autodesk) |
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- 初心者〜中級者向けのベストセラー入門書
- スケッチ・押し出し・ジョイントなど、Fusionの基本機能を丁寧に解説
- 図が多く、操作の流れが直感的にわかる
- 製品開発や試作にも対応する実践的な内容
- はじめて3DCADを学ぶ学生・初心者
- 趣味や副業で3Dモデリングを始めたい人
- 実際に手を動かしながら覚えたい人
- 詳細な機械設計の解説まではない
- 本格的なCAE(解析)やCAM機能には非対応
なぜ実務で使えるのか
Fusion 360は、設計から解析、CAM、レンダリングまでをオールインワンで扱えるクラウドベースの3DCADです。個人開発やスタートアップ、教育機関、さらには中小企業でも実務導入が進んでおり、その汎用性と直感的な操作性から広く支持されています。本書は、Fusion 360の基本操作を網羅的に学べる構成になっており、設計現場で求められるモデリングスキルや作図の流れを実践的に理解できる内容となっています。実務で活用するための土台づくりに最適です。
よくわかる 3次元CAD SolidWorks 入門

📚 対応ソフト | SolidWorks(Dassault Systèmes) |
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- 製造・機械設計系を目指す学生・社会人
- SolidWorksを初めて使う人
- 教材として使いたい教育関係者
- 「AutoCADってなに?」というレベルから始めたい学生
- 操作を実際に見ながら学びたいビジュアル派の人
- 授業・課題で必要になったけど、パソコンや設計に自信がない人
- 内容は基礎中心で、上級操作は扱っていない
- モデルの難易度が一部やや高め
なぜ実務で使えるのか
SolidWorksは、製造・機械設計の現場で最も普及している3DCADソフトの一つです。実務では「形状のパラメトリック設計」「アセンブリ構築」「干渉チェック」など、現物を想定した高度な機能が求められますが、本書ではその基礎となる操作や考え方を、実際の設計業務に近い作例を通じて学ぶことができます。パーツからアセンブリ、図面作成までをカバーしているため、現場での仕事に直結するスキルが効率よく身につきます。
Vectorworks パーフェクトバイブル

📚 対応ソフト | Vectorworks |
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- 2D〜3Dまで幅広く対応した建築・インテリア設計用CAD
- モデリングだけでなく、図面作成・プレゼンまでを網羅
- 商空間デザインや舞台設計の分野でも使用実績多数
- 建築・インテリア・空間デザイン系の学生
- 図面+プレゼンを一貫して作りたい人
- Vectorworksの多機能を使いこなしたい人
- 操作に慣れるまでやや時間がかかる
- 建築・インテリア以外の用途には向かない
なぜ実務で使えるのか
Vectorworksは、建築やインテリア、舞台・商業空間デザイン分野で広く使われている3DCADです。2D図面の作成から3Dモデリング、レンダリング、プレゼン資料の作成までを1本で完結できるのが特徴で、実務でも提案・設計・修正に柔軟に対応できます。本書は、Vectorworksの豊富な機能を体系的に解説しつつ、現場でよく使われる作業の流れを忠実に再現しているため、実践的な技術がそのまま身につく内容となっています。
初歩から学ぶ 3次元CAD活用設計再入門

📚 対応ソフト | 汎用(Fusion/SolidWorksなどを想定) |
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- 「3D CADとは何か」から始まる基礎の再確認本
- 実務の中でCADを“道具”としてどう活かすかにフォーカス
- ソフト依存度が低く、どのCADにも応用可能な考え方が学べる
- 「CADとは何か」から考え直したい人
- ソフトを問わず設計思考を深めたい学生・社会人
- 複数ソフトに対応できる基礎力をつけたい人
- 操作手順ではなく“考え方”が中心
- 実際のソフトの画面操作には触れていない
なぜ実務で使えるのか
3DCADは単なる「図形作成ツール」ではなく、「設計の考え方を形にするツール」です。本書は、特定のソフトに依存せず、設計者としての視点や思考法、設計の目的に対するCADの活用方法を丁寧に解説しています。実務では「操作ができる人」より「設計意図を理解して使いこなせる人」が求められます。本書はその基礎となるマインドと視点を養うことができ、どのCADを使っても応用が効く“設計者としての土台力”が身につく一冊です。
はじめてのAutodesk Revit & Revit LT

📚 対応ソフト | Revit(BIM対応/建築3D CAD) |
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- BIMベースの3D設計ができるRevitの入門書
- ファミリ、ビュー、配置、モデリングといった基本を丁寧に解説
- 図面出力や建築パーツ管理など、建築系CADの流れも学べる
- 建築設計分野でBIMを使いたい学生・初学者
- Revitを業務で使いたいが使い方が分からない人
- 建築図面+3D+情報管理まで一気に学びたい人
- 操作量が多く、やや学習ハードルは高め
- Revit特有の概念(ファミリなど)に慣れが必要
なぜ実務で使えるのか
Revitは、建築設計業界で急速に普及しているBIM対応の3D CADソフトで、大手ゼネコンや設計事務所を中心に実務導入が進んでいます。本書は、Revitの操作方法だけでなく、実際の建築設計プロセスに沿ったモデル構築・図面作成・ビュー管理・部材設定などを丁寧に解説しており、現場のBIMワークフローを体感的に学べる構成になっています。建築分野でBIM人材を目指す人にとって、実務の橋渡しとなる実践的な内容です。
どれを選べばいいかわからない人へ|目的別マッチング表
あなたの目的・状況 | おすすめの書籍 | 理由・特徴 |
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3DCADをはじめて触る初心者 | Fusion 360 マスターズガイド ベーシック編 | 操作が直感的で、図が多くとっつきやすい入門書。3D設計の基礎を楽しく学べる |
製造・機械系の3D設計を学びたい | よくわかる 3次元CAD SolidWorks 入門 | 実務の設計現場で使われるソフトを基礎から学べる。パーツ〜図面化の流れが実践的 |
建築・空間デザインに関わりたい | Vectorworks パーフェクトバイブル はじめての Autodesk Revit & Revit LT | 建築やインテリアの設計、BIM設計にも対応。2D+3D+プレゼンまで幅広く学べる |
ソフトに縛られず、設計者としての考え方を身につけたい | 初歩から学ぶ 3次元CAD活用設計再入門 | 設計の考え方に重点を置いた内容で、どんなソフトにも応用が効く“土台”が学べる |
勉強と実務の違い
3DCADの「勉強」と「実務」には、目的と求められる視点に大きな違いがあります。
勉強では、ツールの基本操作や機能を正しく理解し、正確に図面やモデルを描けることが重視されます。一方、実務では「目的のために最適な方法で設計できるか」が問われます。
たとえば、設計ミスを防ぐための部品の配置、製造コストを考慮した形状設計、現場の変更に対応しやすいデータ構造などが重要です。つまり、実務では「どう描くか」ではなく「なぜそう設計するのか」を考える力が必要です。
CADの使い方を覚えるだけでなく、実際の仕事を想定して設計の意図や流れを学ぶことが、現場で通用するスキルにつながっていきます。
まとめ|3DCADを「学ぶ」から「使いこなす」へ
3DCADを学ぶことは、今や設計・製造・建築など多くの分野で必須スキルとなりつつあります。
しかし、単にソフトの操作方法を覚えるだけでは、実務では通用しません。
大切なのは、設計の目的を理解し、現場の流れの中でCADを「道具」として使いこなす力です。
今回紹介した6冊のテキストは、それぞれが初心者にやさしく、かつ実務で活かせる知識・スキルが詰まっています。
Fusion 360やSolidWorks、Revitなど、使うソフトや目指す分野によって最適な一冊は異なりますが、どの本も“現場で求められる力”につながる内容です。
まずは自分の目的に合った1冊から始めて、手を動かし、考えながら、使えるスキルへと育てていきましょう。
3DCADは「やればやるほど上達する」武器になる技術です。